~土方歳三~


川原での出来事が、渉の

もののけ姿が……頭から離れない




あの時、俺は、声を出せないばかりか

動きを封じられた

何もしてやれなかった




無邪気に働く七重を見ると、自分の不甲斐なさに腹が立つ

2人ともを助けたかったのに

近藤さんは、言っていた

「渉なら、もののけになろうとも
楽しくやるはずだ!!」


それでも……確かめずには、いられない


近藤さんと総司の体調を見て、良さそうな日に小栗邸に行く


小「渉未か… いるのはいるが…」

離れを見て、少し困った顔をした


小「すっかり、もののけになってしまって
話は、出来ん
それに……記憶も消してしまったので
お主らを見てもわからぬぞ?」



離れに結界を張り、その中で記憶を消し
もののけとして暮らしている

沖「もののけなんて、そんな感じじゃないけどなぁ~
すごく綺麗だと思いましたよ?
僕は、会いたいです!!」

近「うむ、恐怖など感じなかった!
俺も会いたいです!!」


土「俺も会わせて下さい!」








小「わかった…… 人を怖がるから
中に入れぬのだが、そなたらであれば
良いかもしらんな
飼い主の慶喜様以外には、威嚇するので
気をつけろ!」

土「小栗様は?」

小「俺は、世話役なので、それなりに」


話を聞けば、あれから6日はたっているが

食事を食べないらしい

そして、眠ると人姿になるそうだ












離れの部屋に入る

結界とは、目に見えないが渉は、これで
人との距離を開けているんだろうな

傷つけないよう


小「ぷくくっ」

少し襖を開け、中を覗く小栗様が笑う

小「まずは、廊下で待て
警戒しているからな」


という割に、笑いながら話す


スーーーー


中には、確かに白い髪に赤い目、鋭い爪

手毬に噛みつきながら、小栗様を見る

髪が短く切られていた

手毬をポイッと放してから、小栗様の足に首を擦りつける

なんてゆうか……

あれだ……

小栗様が頭を撫でながら座ると

ゴロンと小栗様の膝に頭を乗せ、手毬を手でちょんちょん

あぁ… この動き


チラッと近藤さんと総司を見る

2人の目がキラキラ光る


小「それっ」


手毬を俺達の方へ転がす

渉は、素早く手毬を追うと、姿勢を低くし

恐る恐る、近藤さんが捕まえた手毬を

こっち来いって具合に、爪で取ろうとする

沖「かわいいですねぇ~撫でたぁい!」

小「まぁ待て!慣れるまでな?」

近「はい!怖くないよぉ~」

と、甘い声を出す

手毬を咥え、噛み出す

結構、牙がすげぇな

夢中になってるとこに、総司が頭を撫でる

ビクッと驚くが、大人しく撫でられている

近「かわいいなぁ~」

猫好きな2人は大喜びだが…

あいにく俺は、猫が得意じゃない


すでになんだかんだと部屋に入って

渉にちょっかい出してるけど


俺は、廊下のまま


沖「あっ土方さん、猫駄目でしたっけ?」

近「はははっ歳の顔のが怖いよなぁ?」

「にゃぁ~ん」

沖「わぁ!かわいい!」

近藤さんに答えるように、鳴き声を上げる

くっそぉーーー

バカにしやがって!!!

小「土方!無理は、するな」


そう言われると、余計に悔しい


恐る恐る部屋に入る

猫じゃねぇ!!渉だ!!


って思うけど、ちょこちょこと近づく俺の足に目がいってる

イテッ

土「こら!爪たてんな!!」

沖「よし!!」


なにが、よしだコラ!!


怖いけど、座る

皆にそんな近づくことなかったのに

俺の膝に乗っかって、俺の首あたりに首をスリスリ

///// やめろーー!!!

どうしていいやら、固まる


沖「ほら、撫でてあげるんですよ!!」


こうか?


後ろ頭を撫でると、顔をひょいっとあげ

なんと、俺の唇をペロリ


//////////


近「今朝は、魚だったなぁ」

沖「猫の好物ですね」

小「いや~懐いておるな」


誰か、助けろ!!!


恥ずかしいくらい、舐められた

沖「土方さん!ほら!あごを下から撫でて!!」

ゴロゴロ

こぇーーー

近「まるで本物の猫だな!かわいいなぁ」

近藤さんと総司が後ろから、渉を撫でると

大きな口で、あくび

牙こえぇーー!

俺の肩に顔を置いて、スヤスヤ


黒髪に戻る、爪も元に戻る

抱っこしたままなんだが???

土「どうすりゃいんだ?総司!」

沖「え?そのまま寝かせてあげればいいじゃないですか?」


軽いし、きつくねぇけど
ちょっと……



小「なら、俺が貰おう」

土「いえ、このままで大丈夫です!!」