*武士の花*~花は桜木、人は武士~

旅籠


ここで、事を荒立てる訳にはいかないのは
どちらにも共通している

近「いや~まいったなぁ~
こんなに大勢、迎えに来てくれるなんて
申し訳ないなぁ~」

沖「ご無事でなによりです」

キチンと座して、いつも通り笑う近藤さんに、心底ホッと安心した


さてさて、この気まずい雰囲気は

誰が、どうして崩すかな


七「山崎さん!!会いたかったです!!」


わざわざ見せつけるように、渉の前で
山崎くんのそばによる

つられて、おソノも渉の所に行くけど

もじもじ…

そうだよね……

渉ったら、無表情で… 怖いくらい

ソ「あのぉ…お久しぶりです
あれぇ… 髪……」

渉は、無反応

心構えはしていたけど、渉が渉じゃないみたいだよ

渉…

近「さぁ 帰ろうか!!」

七「渉と話がしたいの!駄目?」

近「2人には、できんな…」


???

近藤さん… 

七「そう… ならここで…
渉…… 私ね、山崎さんと恋仲なの!!
それでね… このままでいたいの!!
言ってる意味、わかるよね?」


おソノがいるから濁した言い回しをする
そして、山崎くんの前では、ボロを出さない

そんな、七重に怒りを覚える

渉だって、女として、土方さんが好きなんだよ?

山崎くんを好きだったときより、土方さんを想ってる時の方が、ずっと気持ちが強いんだから!!

勝手に女の体を横取りして

恋心も居場所も仲間も友達も奪うの?


何より、許しがたいのは


それを渉に選ばせようとしていること


近「七重… 君が、渉に何をしたか
私は、知っている!!! すべてだ!!
そのまま山崎くんと幸せになるなら
渉に関わることをやめると誓いなさい!
出来ないなら、新選組を出なさい!!」





近藤さんが、責めるように言葉を並べるのを初めて聞きました

土方さんも初めてかな?


斎藤くんは、もちろんだね?

固まってる



渉が立ち上がって、七重を立たせる

七重の左手をとり、ずんずんと部屋を出て

旅籠を出て



川原へ




僕らは、そんな2人の後を追った


七「なによ?こんな所に…
ねぇ?頂戴?私に頂戴?」



無表情の渉に、山崎くんの事やおソノの事を忘れて、必死に言い続ける


七「私の方が女らしいでしょ!?
私なら、いい妻になれるわ!!
渉は、どこでも行けるでしょう!?」


じっと七重を見続けていた渉は

近藤さんをチラッと見る

そして、渉は七重の頭に手を乗せた


渉が手を離すとグラリと七重が倒れる

それを山崎くんが支えた


近「渉…」


渉を悲しそうに見つめて、近藤さんが呟く


渉は、無表情で、山崎くんと七重を見下ろしていた