~土方歳三~



斎「副長、少し早めに戻りました」


???


土「斎藤……平助を説得して、連れて戻るように伝えたはずだが?」

斎「え…藤堂に、新選組の平隊士を守るように指示されましたよね?」

土「いや、してない」


嫌な予感とは、的中するもの……


近藤さんと俺達3人は、永倉と原田の待機場所まで走った


そこには、すでに息を引き取った平助が



近「すまない……平助」



原「土方さん…渉も一緒に平助を守ってくれたんだ
だが、平助は平隊士を逃がす為に……
クソッ!!!」

平助の亡骸から、少し離れた位置で

永倉と渉は、御陵衛士らとまだ戦っていた



土「加勢するぞ」



御陵衛士の中には、嘗ての仲間もいた

俺達の姿に士気がなくなり

「ひけ!!」

逃げていった




渉が振り返る

バチっと目が合う



目をそらすように、近藤さんと平助の方を

見てから



クルリと方向を変え、歩き出す


土「おい!!!渉!!待て!!
戻ってこい!!」


後を追おうとすると、脇道から深編笠で顔を隠した男が出てきて

渉に同じ深編笠を渡し、2人が歩き出す


原「土方さん、渉は今…
助けてくれた人に、恩返しをしなきゃならねぇんだと
いっぺん屯所に顔出せって、言ったんだけど、自分は死んだんだって…
山崎と七重に悪いとか、皆によろしくって
それに… 声が出せないみたいだった」


斎「すみません!!あの渉って…
ちょっと、あれ? すみません…」


はっ!!! そうか!!!


土「斎藤、連絡は誰がきた?」

斎「え…浅野です」

土「屯所に戻るぞ!!!」













土「浅野、俺から斎藤への伝令文
誰から預かった?」

浅「え…?書き直しの方ですか?」


やはりな……



浅「山崎さんですよ!土方さんがたのんだんでしょ?」


斎「これは、いったい……」

浅野に山崎を呼びに行かせた


土「山崎、浅野に渡す伝令文は、誰から預かった?」

烝「七重です
副長から、浅野に渡すように、頼まれたからって… 何かあったんですか?」


俺は、浅野に直接渡した


恐らくどこかで見ていた七重が、浅野を引きとめ、内容を変えた別の文を山崎に渡した


土「斎藤…文はあるか?」

斎「燃やすように書いてあったので…」

土「そうか…」


証拠も無しに、七重を責めることも出来ない





やられた……