牡丹が置屋を出た


幸せいっぱいの笑顔だ


自分のことのように、嬉しいことだった


新選組が用意した祝言には、行かない


そのかわり、牡丹に女であることを話して


椿と3人で昨夜は、語り合った


もっと早く女同士だと知りたかった


牡丹がそう言ってくれた


それが、妙に嬉しくて油断した俺は…


少し泣いた


女でいても、いいのかな…


烝さんの為なら、女でいたかった


何もない、空っぽになった俺は…


空気でも、掴むような気持ちになった



「今さらなぁ……」



考えるのもバカバカしい


こんな傷だらけの女、嫁に欲しいなんて奴は



いない


烝さんだって、嫌がるんだから





あーーーまた、烝さんが出てきた




ぽかぽかと頭を殴る




椿「何してんの?ふふふっ」

渉「なぁ、椿?椿は、いい人いるのか?」


何度か身請けを断っている


椿「渉さんが好きなんよ!」

渉「……そりゃどうも」

椿「女だって知ったとき辛かったんよ?」

渉「ごめん…」

椿「ふふっ 今は、女同士でよかったって思ってる!ねぇ!?久しぶりに買い物行こう!」


それって… つまり…


椿「早う、着替えといで!」


女の格好しろってか……


渉「椿……変な目で見られるぞ?」


経験済みなので、教えておく


椿「あら?見られてなんぼや?
そうやろ?桜?ふふふっ」


わざと俺を桜と言う

ひとりになると、さみしいし
出掛けよう

さすがに太夫の格好は目立つから

渉「椿も着替えろよ!!」




……




女将「あんた達、遅くなるんじゃないよ」




椿、渉「「 はぁーい 」」