孝明天皇の後を追うように、側室の桜が亡くなったという噂を耳にした


それはそれは、綺麗な死であったと














年明けは、雪がチラホラと舞っていた

舞い降りる雪に手を伸ばし、手のひらで

水に変わったことを残念に思う


「歳、少しいいか?」

「おぅ」


近藤さんからの話は、新年にはふさわしくない内容だった……


「もうすぐ、伊東くんが動く……」



前々から、渉未に言われていたらしい

伊東さんが、新選組を抜ける計画をしていると

山崎に内部の調査をして貰うと、斎藤が
伊東さんに誘われているとのこと

斎藤に間者役を頼んだ


そして…


3月、伊東さんは亡くなられた孝明天皇の墓の警護をするという名目で、新選組を出た

御陵衛士として、新選組から斎藤と藤堂を含む13名引き抜いて行った


近「わかっていても、辛いものだな…」


可愛がっていた平助が、何の挨拶もなしに
行ってしまったんだ…


淋しいよな……













……







京に来て、何度目の桜だろうか?


5回目かな?



桜が春を知らせてくれていても、まだまだ寒い

仕事する気にならねぇ


フラリと散歩に出掛け、思わぬ拾いものをすることになる




今日、俺の頭中を支配して、仕事を出来ないようにした

……渉未だった






「はぁ!?」





錯覚ではないらしい


冷たい川に寝そべって、チラッとこっちを見る

この寒いのに…何やってっ!!


「おい!こっち来い!!」

ニコリと笑って、聞いているのか、いないのか


さっぱりだ…




桜が亡くなった

そう聞いていた



「あははっ 足はあるぞ!!」


俺の心情を察してか、足をひょいと上げた


「上がって来いって!!」


強めに言うと、渋々…面倒くさそうに

起きた


!!!!!!!


「お前…!!その……髪!!」


耳にかかるくらいまで、バッサリ

「天子様にあげたんだ」


俺の方に来ながら、ヘラヘラ笑う


前にもこんな渉未を見たな


「切りすぎだろ……」 

「そう?楽だぞ?」


髪は女の命というが、それはすべての女に当てはまらないと知った


「はははっ 寒ぃ」


全身ずぶ濡れで、嬉しそうに言った

羽織を脱ごうとした俺を止めた


「濡れてんのに、意味ないから!」


そりゃあそうだが、ほっとけねぇ


バサッと肩にかける


「色男ぶりやがって……」


すげぇ小さい声だったけど、しっかり聞こえてんだよ!!


「ぶってねえよ!!!」

「ありがとう」



//////急に、素直なお礼を言われ、ドキッと

心臓がなる



「とりあえず、着替えねぇと風邪ひくぞ」

「うん… 店に帰るんだ
これ、借りるから……じゃあな」



小走りで、行ってしまった





「ん?店に帰る?死んだ桜が帰ったら…
やばいだろ!!」