ひとつき







すっかり、仕事をひとりでこなせるようになった

隊士達を匂いで嗅ぎ分ける


「弘吉!牡丹と逢い引きの帰りか!?」


こんなことまで……


弘「はははっ すげぇな」


弘吉が渉の手に○


「やっぱり!!牡丹の匂いがしたから!」



そぉっと2人に近づく

渉のおでこを指ではじく


「いってぇ!!弘吉!!コノヤロ!」

「山崎さ~ん!酷いですよ!!」


弘吉が渉の手をとり、俺を触らせる


「ん?山崎さん?
あ!さっきの!!山崎さんの仕業?」


俺は、烝さんから山崎さんに戻った


熱が下がったら…の約束も流れている



それでも、不自由さを感じないくらい生活が出来るようになったこと

新選組の隊士達も、渉を気に掛け

優しくする













俺が気に入っているのは、洗濯をするところ


キラキラと光る水しぶき、ニコニコ笑って

洗濯物を干し、空を見上げる


と言っても見えてない



「ん~いい天気!!」






今日は、晴れている


しかし、曇りの日も同じことを言う





やっぱり、見えてへんのやな






突然の雨降りなんか、大変や


雨音が聞こえない


湿気と匂いで雨を知る

他の隊士達が、早めに洗濯物を取り込んでても

見えないから、外に出て探る

結果、ずぶ濡れ





部屋は、沖田さんと同室

これは、沖田さんの管理も兼ねている




「薬飲まないと、ぜんざい作らないからな!」



この一言は、効果的




そして、沖田さんは、女に興味がない

というか、一線を引いている



おかげで安心して任務にあたれる






「烝さん、監察むきだよねぇ
匂いがしないから、いるのかいないのか
全然わかんないや」


前は、何で気づいたん?

屋根から、ひきづりおろされたん

忘れてへんぞ?



2人きりの時

時々、こうして烝さんと呼ばれることが


今の俺には、最高の幸せや



そっと口づけして



『しばらく帰れない』と手に書く


「そう……気をつけてね」


さみしそうに笑うんや


愛しくてたまらん


コイツのためにも、怪我なんか出来んな