~渉~


烝さんは、とても優しい

口の割に、手荒な割に、雑な割に




熱が下がらない……


頭の中に色々な場面が見えすぎる

気持ち悪い……



もうすぐ、ここに沖田が来るとか

自分が連れ去られるとか

烝さんを傷つけてしまうとか




変えなきゃ!







変えなきゃ!















思うように動かない体を、無理に動かして

沖田が来る前に、家を出た






辰己は、どこ?


  





朝方、家を出て辰己に会えたのは


もう暗くなった頃





辰「渉…大丈夫か!!」

渉「将軍が病で、それと……
天子様も危ない!!おそばをはなれないで!!それと……」

辰「分かるように言えって!!」


焦りすぎで、何から話せばいいのか
わからない


「少し先が見えるんだ……
それで……将軍様と天子様のお命が危うい……あと、忍組が解散させられる
新選組を頼れ
それから……」



その先は、言えなかった





「じゃあ!頼んだぞ!!」



言いたいことだけ言ってから

家に向かった



沖田が囚われている



途中、膝をつき、何度も倒れそうになる

熱のせいで視界もぼやける



スパーーーン




「沖田、お待たせ」


「渉…逃げて!!」


「沖田、逃げないよ
目的は、俺だろ?コイツは、このまま見逃してくれ」

「大人しくついてくるか?」

「あぁ」

「渉!!駄目だって!!逃げて!!
僕は、大丈夫だから!!」


縄で縛られた沖田に、微笑んだ


明日の朝には、烝さんが帰る


それまで、耐えてね