~渉~


目が覚めると

克己の部屋、克己の布団


新選組から、辰己が連れて帰ってくれた


きっと、なにがあったかきいたよな


布団からでて、暗闇を歩く


ついこの前まで、克己と見た星空


ひとり見上げる















翌日は、普通に仲間の前に出た


辰己が休めと言ったけど、心配しすぎだと
笑っておいた


一通りの仕事を終え


部屋に戻る


この部屋の主は、嘘をついた


そばにいると、ひとりにしないと

言ったのに……


そっとお腹に手をあてる







熱があるのは、この痛みのせいだ







「渉、少しいいか?」

「どうぞ」


珍しく、辰が来た


「俺に診せてくれないか?」

「ちょっと熱があるくらいだ、問題ない」

「倒れてからじゃ遅い!
俺が信用できないのか?」

「そうじゃないよ…
俺が駄目なんだ…すまない」


これは、いい機会だ


「辰己、頭を引き継いでほしい」


「出て行くのか?」


「うん…」



辰己は、引き留めなかった


それほど、必要ではなかったってことかな


克己のくれた、女もの着物に身を包み


ふらふらと屋敷を出た



落ちてしまえばいい


どこまでも


這い上がれなくてもいい



どうなってもいい


夜、ひとりですごすより


ひとりぼっちになるより