出会いは、間違いだった




上からの命令で、内密に新選組から

〝山崎 ?〟を拉致する予定…が

名前を思い出せなかった……


〝渉〟が山崎だと思った


訓練された俺達の気配を感じ、警戒心を剥き出しにした


間違いない


そう思ったが



違った……

そのうえ、腕の骨を折られそうになる











なんとも間抜けな出会いだ



とても幸せな今、思い出すと笑える

本物の山崎は、新選組に必要だから

自分が代わりにここに居る




そう言った




双子の片割れを殺されても
土方が憎めなかった


そう言った




土方が好きだった




そう言った





七重の言葉は、すべて覚えている






だからこそ、目の前で

斬られそうな土方の盾になった




土「お前!!なぜっ!!」

克「お前が死ぬと……あいつが泣く…」




仲間に連れられ、屋敷に戻った





「克己!!どうしたの!!
なんで?嫌だ!!辰!!克己を助けて!」



そうか……俺が死んでも、七重は泣くのか


気づかなかった



俺は、やっぱり間抜けだ


「お前の大事な者を守ったぞ!
泣くな!笑っててくれ……」



涙でぐしゃぐしゃの七重の唇に

手を触れた



もう一度



口づけがしたかったな




七重と俺にそっくりな子供に




会いたかった





「悪いな……少し、旅に出る」