誰もいない放課後の教室────


「由奈(ゆな)。最初から好きじゃなかったって…それ本気で言ってんの?」
「うん。」
「最低だなそれ」
「うん。」
「さっきから何でうんだけなんだよ…まっいいか、別れよ。」
「うん。」

ぶっ…つーつーつー……

電話番号を消して。これでよし。

振られたことの悲しさなんてなくて、
振られるように仕向けたことに気付かれてないか、私を嫌いになってくれたか。
色々な感情が混ざってくる。

「あれ。皆川(みなかわ)まだいたのか。」

担任の藤村(ふじむら)がそう言いながら教室に入ってきた。


「いつもの雑用ならやらないからね~。」