にしても……気付かない、よね。

そりゃそうだ。

今日会った人の中で気付いたのは悠馬だけだったし。

むしろ、気付いちゃう悠馬が凄いわけで。

だから、先生が気付かないのも当たり前レベルの変化なんだけど……

どうしてか、先生には気付いて欲しい気持ちがあって……


「ね、先生。私に変化があります。なんでしょう」


ペンを動かす手を止め、自分から聞いてしまった。

先生は1度瞬きをしてから、その瞳に私の姿を捉える。

そして、視線が変化を探すように私を観察して……


「先週の中間の結果が散々だったので、やけ食いして僅かに肥えた、とかか?」

「ハズレです。ていうか、思い出させないで。それと、体重に変化はありません!」


半ば切れ気味に言うと、先生は口元を緩めて「そうか」と少し楽しそうな声を零した。

これ、絶対からかってる。


「期末ではどうなるか楽しみだな」


ほら!

何だか目も笑ってるし!