ガラガラと保健室の扉が開いて。


「すみませーん、お腹痛いん、で……」


女生徒が入ってきて、私たちを見て固まった。


悠馬の時に似たパターン。

でも、先生は決して悠馬のようなことをしてるわけじゃない。

わけじゃないんだけど、何故か女生徒の目が疑わしげに私と椎名先生を交互に見ていて。

先生は無言で手を離すと、女生徒に向き直った。


「どうした。宝生先生は不在だぞ」


女生徒の校章の色は黄色。

どうやら下級生のようで、彼女は「そうなんですね」と、少し慌てたように答えた。

椎名先生は腹痛が辛いなら彼女の隣のベッドが空いてるから寝ていろと言ってから、私を振り返る。


「じゃあな、宮原。ちゃんと休めよ」

「は、はい」


私の返事を聞くと頷いて、先生は保健室から出て行った。

残された私は、女生徒の勘繰るような視線を浴び、逃げるように布団をかぶり目を閉じたのだった。