椎名先生が、私を心配して保健室まで様子を見に来てくれたなんて。

いや、前に成り行きとはいえ家まで送ってくれた上、私が横になるまで看病してくれたくらいだし?

そんな人なら、もし相手が私じゃなくてもこうして様子を見に来たのかもしれないけど。

それでも、私の事情を覚えていてくれて心を砕いてくれたことが嬉しくて。


「先生……」



ありがとう、と。

感謝の言葉を告げようとしたら。


「朝比奈の相手ができるくらい元気そうで何よりだな」


優しさが、刺々しいものに変化して私をチクチクと攻撃した。


「一応、具合悪くてここにきてます」

「ああ、そんな話しだったか」


言葉だけでなく態度も刺々しくなった椎名先生。

彼の瞳はいまだ私を映してはおらず、腕を組んだ体勢でデスクの辺りを見ている。


「怒ってる?」


そうとしか思えない態度に私が問えば、ピリピリした空気を纏った先生は、僅かに眉根を寄せつつもようやく私を見た。