「ちょっと具合が悪いので保健室に行ってきます」
頭に感じる痛みを堪えつつ伝えると、椎名先生が小さく頷いて。
「わかった。保健委員は……本人か。もう1人は?」
「僕です」
椎名先生の声に手を挙げて応えた保健委員の相方君。
彼は椅子を引き立ち上がろうとしたけど、私は「1人で平気です」と残し、教室を出た。
廊下を歩きながら、痛む頭に手を添える。
昨日は寝不足だったし、そのせいもあるのかな。
最悪少し寝かせてもらおう。
そう思いつつ、辿り着いた保健室には宝生先生の姿が見当たらない。
どうやら不在なようで、その代わりに見つけたのは……
「何してんの?」
体育で怪我したらしき悠馬だ。
「見りゃわかるだろ。消毒だよ、消毒」
捲り上げられたジャージの裾。
そこから見える膝には、派手に転んだのか大きな擦り傷から滲む血。