座席表によると、椎名先生の席は窓際の端の方にあった。

でも、そこにはやっぱりいなくて。

どうしようかと迷いつつも席の前に立ってみた。

綺麗に整頓されたデスクは、椎名先生らしさが出ている。

ふと、その清潔感溢れるデスクに、違和感を見つけた。

教材やファイルが並ぶ中、ポツンと置かれているのは薬袋。

"内服薬"と表記されたそれには、椎名要という文字。

それを確認した瞬間。


「あっ、もしかして風邪?」


やっぱりうつしてしまっていたのかと、申し訳ない気持ちになっていた時だ。


「……宮原?」


探していた人の声に、私は弾かれるように顔を上げた。

白いシャツにグレーの薄手のニットを着た椎名先生は、少し不思議そうに私を見ている。

ちょっと立てられた襟に、程よく捲り上げられた袖。

特別な着こなしをしてるわけじゃないのになんだかセクシーに見えるのは、椎名先生だからだろう。


「どうした? 俺に何か用か?」


問われて、私が手に持っていた紙袋を差し出そうとしたと同時──