寝癖を直して、鏡で自分の姿が最低限整っていることをチェックして。

どうにか、いつも家を出る時間ギリギリに間に合いホッと一息つきながら、鞄を手にし靴を履いて家を出た。


すると、何故か。


「あれ? 悠馬。おはよう」


いつもはこの時間にここにいないはずの制服姿の悠馬に私が挨拶をすれば。


「おはようじゃないだろ」


彼は愛車にまたがったまま、私を見るなり疑うような目をして。


「何で無視すんだよ」


青空の下、いきなり意味不明なことを言われた。


「何の話?」

「電話だよ。昨日、お前の携帯に電話したんだけど」

「え、嘘」


ぐっすり寝てて気付かなかった。

鞄からスマホを取り出して確認してみれば、確かに不在通知の表示が。


「気付かなくてごめん。急用だった?」

「急用っつーか……」


ふい、と一度私から視線をそらす。