先生の手はまだ私の腕を掴んだままで、ちょっとだけ痛い。


だけど……


「タクシー乗り場まで頑張れるか?」


私の事を心配してくれるその気持ちが、嬉しくて。


「余裕ですよ」


足取りはちょっと怪しかったけど


家に帰らなきゃいけないのに


心は温かく


軽くなっていた。