そして49日も過ぎた7月初旬、土曜日。

お墓参りの日がやってきた。

待ち合わせの時間は午後から。

午前11時現在。

私は、母と一緒に駅前のスーパーで買い物を済ませ、帰宅している途中だ。

我が家の車を運転する母の隣で、静かに景色を眺める。

街行く人たちの中に先生の姿を求めてしまうのは、最早癖。

先生がいた日々に戻りたい。

それはもう、叶わない願い。


「遥、制服着て行くの?」
「うん。そのつもり」


両親は、椎名先生が亡くなったことを知っている。

先生が亡くなった日、泣きはらした私の様子を見て心配し、何があったのか聞かれ……話したからだ。

先生に対する私の気持ちごと、偽りなく。

教師に恋をしたことを、父も母も驚いていたけれど、咎めたりはしなかった。

ただ、辛かったねと、気持ちに寄り添ってくれた。

それは今でも変わらず、今日のお墓参りもぜひ行って手を合わせて来なさいと言ってくれている。


「お花、気に入ってくれるといいわね。先生」


後部座席には、白と青系を基調に先生をイメージして選んだ涼しげな色合いの花束が手提げバッグに入れて置いてあり、花が放つ香りを感じながら、私は「うん」と頷いた。