腫れて重くなった瞼を開いたのは、もうお昼を回る頃だった。

見慣れた天井をぼんやりと見つめながら、夕陽に照らされた海でのことは夢なのだと知る。

ならば、椎名先生が亡くなったのは……現実。


夢であれば。

そう願い、沈んだ気持ちを抱えながら、先生のいない毎日を過ごす。

学校は、すでに辞めたからなのか椎名先生が亡くなったことには触れていない。

でも、葬儀には校長をはじめとした教師たちが参列していたと葛城さんから聞いた。

……そう、私は参列できなかった。

もし変に疑われ私に何かあれば要が悲しむからと、葛城さんに言われたのだ。


『そんなことになったら、安心して天国に行けなくなっちゃうね』


スマホ越し、冗談めかして言った私は、自分の言葉に寂しくなってしまい、その後、葛城さんが乗ってくれた声にはうまく返事ができなくて。


『墓参りには一緒に行こうか』


葛城さんは約束して、通話を切った。