……正直、覚悟なんてまだ持ってない。

ショックはまだ癒えないし、頭の中だってパニック状態だけど。


「ごめん、悠馬。私、行ってくる」


先生に、会いたいの。


「遥!」


引き止める悠馬の声を背に、私は葛城さんの車に乗った。

エンジンがかかると、私は唇をきつく噛みしめる。


大丈夫。

弱ってるかもしれないけど、先生はきっと驚きながらも微笑んで迎えてくれるはず。

アキが大袈裟に言ったんだなって、呆れた顔するんだ。


大丈夫。

大丈夫。


椎名先生の優しい笑みを思い描きながら、呪文のように繰り返す。


大丈夫。

大丈夫。


きっと、きっと。


だから……


遅かった、なんて。

そんなの


信じない。