緩やかに風が吹いて、制服のスカートを僅かに揺らす。

隣に立つ悠馬に「知り合い?」と話しかけられ、私は頷いた。


「椎名先生の友達で葛城さんていうの」

「椎名の? 椎名って要って名前なんだ」


納得する悠馬を尻目に私は葛城さんに話しかける。


「待ってるって、どこで? それに、先生はどうして辞めてしまったんですか?」


ずっと心にあった疑問をぶつけると、葛城さんは目を伏せて。


「あいつはね、バカだからこれが自分に与えられた罰だと思ってるんだ」

「罰……?」


どんな罰?

それは誰が与えた罰?

湧き上がる疑問に眉を寄せた刹那、過ぎったのは七瀬さんのこと。

椎名先生が自分を責めるなら、それしかないと思った。

一体、先生に何が起こったのか。

妙な胸騒ぎに、私は胸元を制服の上から押さえる。


「要にはきっと、疑問や後悔はない。でもね、君に関しては多分、後悔してるよ」


葛城さん伏せていた視線をゆっくりと上げ、私を見ると薄く笑って。


「君の名前を呼ぶほどに」


耳を疑うようなことを口にした。