「まあね。でもさ、そのシチュいいよね」

「何が?」

「恋の始まりって感じで」


こ……恋って……

私と、椎名先生が?


「椎名っちならありでしょ」

「な、ないない! 先生だよ!?」

「いいじゃない。イケメンだし」

「いやいやいや、確かにイケメンだけどね、それでもありえないでしょ。愛想がいい方でもないし、何よりすぐ説教するし」

「そうか」

「そうそう…って、ん?」


今、そうかって言ったくるみの声が随分と低い気がして首を傾げた。

すると、アップルジュースを手にして私の前に立つくるみが、顎で私の背後を指し示す。

わけもわからないままだったけど、とりあえず振り返ってみると──


「わああ!?」


そこには、椎名先生が立っていた。

その表情には怒りも笑みもない。

至っていつものクールフェイスな椎名先生で。

だけど、それが何だか威圧的にも思えてしまう。