息を深く吸い込んで、同じ時間をかけて吐き出す。

──と、リビングの方から物音が聞こえて私は瞼を開いた。

どうやら先生がトイレに行ってたらしい。

それにしても、ソファーなんかで寝かせてしまって申し訳ないなぁ。

私がソファーで寝ますって言ったんだけど、そこは折れてくれなかったんだよね。

体痛くしたりしなければいいんだけど……と、そこまで考えた時だった。

──ガチャリ。

寝室の扉が開く音がして。

もしかして、先生が何か取りにきたのだろうかと思った刹那……

ドサッ、と。

ベッドが大きく揺れて、何かが私の隣に倒れこんだ。

ビックリして体が縮こまり固まる。

瞬きを繰り返して、一体何が起きたのかと頭をフル回転させた。

その結果、ひとつの可能性に至る。

というか、それしかないのだ。

背後に感じる穏やかな息遣いを気にしながら、恐る恐るゆっくりと振り返ると……


「……っ!」


声が出そうになり、ぐっと堪える。

それくらい近い距離に

椎名先生が寝ていた。