「まあ……少し前だったらな」

「どうして今はいいの?」


前はダメで今は良い。

何がどう変わったのかわからず、私は首を傾げた。


「よくはない。でも、お前が困ってるのなら、放り出せないだろ」


それは、クールな先生の真面目な優しさ。

この優しさに、私は何度も救ってもらった。

でも、今回ばかりは甘えちゃいけない。

なんせ、先生の教師生命が危うくなってしまうのだから。


「やっぱり心配だし、これ飲んだら出ていきます」


そう言って、先生が入れてくれた飲み物を手にする。

だけど、先生は「俺の事はいいよ」と告げた後……


「遅い時間に出歩いて、宮原に何かあるよりはずっといい」


私の心を揺さぶるような優しい言葉をくれた。