わけがわからず、でも何か都合があるんじゃないかと考えながらトートバッグを手に素直に降りると。
「要、あとはよろしくね」
葛城さんは家出の事を聞いた時の笑みを浮かべて、運転席から軽く手を上げた。
「待て。意味がわからないんだが」
全く同感で、私もウンウンと頷く。
すると、葛城さんは満面の笑みで……
「可愛い生徒を１日だけかくまってあげろってこと。じゃねー」
言い残し、車を発進させた。
そうか。
葛城さんがニマニマしていたのは、こうするつもりだったからだ。
納得し、けれどすぐに自分がとんでもない状況に置かれたことに気づく。
椎名先生の家の前で、椎名先生と立ち尽くす私。
まさかの展開に、私はひたすら
固まっていた。
