これ以上どう説明したものかと、先生の視線を受けながら考えていたら。


「あっれー? 遥ちゃん!」


呑気な明るい男性の声に呼ばれて視線を動かす。

すると、いつかのように車のウィンドウを下ろしてニコニコしながら私に手を振る葛城さんがいた。


「葛城さん、こんにちは」

「うん、こんにちは。私服姿も可愛いねー。あ、暇なら一緒に御飯でもどう?」


俺たち今から飯に行く予定なんだと流れるように話す葛城さんに、椎名先生が眉をひそめる。


「おい、アキ」

「いいだろ。要は先生だろうけど、俺はただの友達。ね、遥ちゃん」


先生の制止もなんのその。

葛城さんは相変わらず笑みを浮かべたまま私に話を振ってきた。


「えっと……」


椎名先生と御飯に行く機会なんてなかなかないし、何より一緒にいたい気持ちは大いにある。

だけど、椎名先生が困るならと思い断ろうと口を開きかけると。


「はい、ということで遥ちゃん乗って乗って。あ、要は後ろね」


強引に話を進められてしまい、葛城さんは車から降りてくると、私を助手席に押し込めたのだった。