夏が戻ってきたかのような暑い日が続いている、10月初旬。

私は、夕飯と入浴を済ませた後、ミネラルウォーターの入ったペットボトルを手に、カレンダーの前に立っていた。

ダイニングにある窓の横にかかるカレンダーは、以前、父方の祖父母が地元の名産品と一緒に送ってくれたもの。

昔、私が好きだったキャラクターのカレンダーなんだけど、それを祖父母は覚えてくれていたらしい。

もうそんな年齢じゃないだろうけど、と手紙にはかかれていたけど、これを見て私を思い出してくれたことが嬉しかった。

そんな、温かな気持ちが込められてるカレンダーを見て溜め息が溢れてしまうのは、明日が私の誕生日だから。

おめでたい日なのに、明るい気分になれない原因は……


「遥、メールにも入れたけど、お母さん明日出張で帰りは明後日になるから」


またしても親だ。

後ろ向きな考えは良くないってわかってるけど、最近、どうもコントロールがきかない。


「……お父さんは?」

「わからないけど、遅いんじゃない?」


素っ気ない返事に私は唇をきつく引き結ぶ。

母はさっき帰ってきたばかりで、レンジでお惣菜を温めながら、冷蔵庫を開け飲み物を選んでいる。

ちなみに、母とは仲直りしたわけじゃない。

あの日から必要な会話以外は交わしていない状態だ。