もういいよ、と行動で示されて。

わかったよ、と淡い笑みで語られて。


久々に見れた椎名先生の微笑みに、胸が高鳴り、頬が熱くなる。

顔の火照りと心の動揺を隠すように俯き、先生の手が離れた時だった。

視界に、さっき先生が落としたままのカードを見つけて、私は腰を上げると膝をつき、カードを手に取った。

──瞬間、気づく。


「これ……私が書いたメッセージカード……」


そう。

これは以前、お礼のクッキーと一緒に渡したメッセージカードだ。


『先生がいてくれて助かりました。

ありがとうございます。』


少し丸みのある文字は、間違いなく私の字で。


「とっておいてくれてたの?」


こんなの、とっくに捨てられていると思ってたのに。

そう思いながら問いかけてみたけど、先生は無言を返すだけ。


なんていうか……


「ふふっ……」


先生の優しさが。

温かさが。


「ありがとう、先生」


心を溶かして。


「……泣きながら笑うのか。器用だな」


泣けてきてしまう。