私、先生にそんな風に思ってもらえてたんだ……

嬉しい。

すごく、嬉しい。


「あー、でも、さっき君の話題を出した時は反応が悪かったな。何かあった?」


ウインカーを出しながら、葛城さんが聞いてくる。

本当なら、何もないと答えるべきだったのかもしれない。

でも、気さくな葛城さんの雰囲気が私の心を緩めてるのか、自然と声が出て。


「迷惑、かけないようにしようと思って」


素直に口にしていた。


「そうなの? オレとしては迷惑かけちゃえと思うけどね」


そう話す葛城さんの口元には笑みが浮かんでいたけど、瞳は何故か悲しそうで。

どうしてかと疑問に思えば。


「振り回して、余計なこと考える暇なんか与えないでやってよ。色々と、さ」


少し意味深に感じるような言い方をされた。


「色々?」

「うん、色々」


その色々が七瀬さんの事以外に何を指すのかわからず、だけど葛城さんから話してもらえることもなく。

気付けば、ウィンドウの向こうの景色は家の近くだった。