「それじゃあね」


熱中症には気をつけるのよ。

最後に先生らしいことを口にして、宝生先生は夏の陽射しが降り注ぐ玄関の外へと踏み出した。


コツコツコツ。

宝生先生の鳴らすヒールの音を聞きながら、頭の中で否定する。


私は、甘いスパイスなんかに引きづられて


椎名先生を好きになったんじゃ、ない。