「足は大丈夫か?」


その表情に笑みはないけど、気にしてくれることが嬉しくて、私は頬を緩め頷く。


「うん。もうほとんど問題ない感じです。足上げて寝てるからかな?」

「そうか、良かったな。完治するまでは無理するなよ」

「はーい」


ここで「もう大丈夫」とか言えばお説教されかねないので素直に返事をしておいた直後。

──カシャ。

軽やかで小気味良いその音に、先生と同時に首を動かせば、くるみがニマニしながらカメラを構えてこちらを見ていた。


「いいのが撮れたよ。ふふふー。あ、先生ピンならファンの子に売れるかもしれないんで、1枚いいですか?」


お願いしながら先生にカメラを向け直すくるみ。

けれど先生は「断る」と短くきっぱりと拒み、背を向けて去って行った。

くるみは「ですよねー」と気にした様子もなく笑い私に向き直る。


「ねえねえ、時間あるなら休憩付き合ってよ」


両親に連絡しようとしていたのを思い出したけど、何より相手はくるみだし、少しくらいならと私はくるみの休憩に付き合うことを了承した。