私が反抗すると予想していなかったんだろう。

ショートヘアの子が狼狽える素振りを見せながら「そ、そうじゃないけど」と答えた。


「なら、私は自分の好きなように──」


させてもらいたい。

続けるはずだった言葉は……


──バチン!


つり目の子の手のひらが私の頬を強く叩いた事で遮られた。


「言ったばっかだよ?」


苛立った声色でつり目の子が言う。

ジンジンと痛む左の頬を手で押さえると、血の味がする事に気付いた。

叩かれたことで口の中が切れたのかもしれない。


「次はこんなもんじゃ済まさないからね」


彼女たちは砂利の上に座り込んだままの私に言葉を吐くと、身を翻して去って行った。

1人残された私の耳に、けたたましい蝉の声が聞こえる。

その声を耳にしながら、立ち上がろうと右足に力を入れた……刹那。

ズキン、と足首に痛みが走って動きを止めた。