「なんか生意気なんですけど」


私の返答が気に入らなかったのか、つり目の子が眉をしかめた。


「前はプール掃除で見逃してあげたのに、懲りてないのかなー。ねえ?」


自分の両脇に立つ友人2人に同意を求める。

もちろん、2人もつり目の子の言葉に頷いた。

そしてバカにするような目で私を見ると「チョーシに乗んなよ」と、向かって右側に立っているショートヘアの子が私に手を伸ばし、ドンッと私の左肩を力強く押すように突き飛ばした。

まさかそんな事をされるとは思わず、身構えてなかった私は、灰色の砂利に倒れ込んでしまう。


「いった……何するの」


左肘を擦りむいたようでヒリヒリとした痛みを感じる中、それだけ声にした。

私を見下ろすショートヘアの子は何も言わない。

代わりに、つり目の子がうっとおしげな目で私を見て……


「これ以上酷い目に会いたくなかったら、椎名先生に近づかないでね?」


そう言った。


……どうして、この子たちにそんな事を言われなければならないんだろう。

事を荒立てない為には、彼女たちの言う事に従っておくのがいいのかもしれない。

でも、ジリジリと照りつける真夏の太陽が、冷静さを奪ってしまったのか。


「先生はあなたたちのものなの?」


私の口は、素直に思った事を声にしていた。