それは、終業式が始まる前のこと。

体育館に集まる為、クラスメイトと廊下を歩いていた時だった。


『宮原』


背後から掛けられた涼しげな声に、私は心を弾ませ振り向く。

そこには期待通り椎名先生がいて、私はクラスメイトに先に行ってもらい先生に向き合った。


『何ですか?』


首を傾げた私に、先生は1枚のプリントを私に差し出す。


『これ、参加しないか?』


当然ながら、誘われたのはデートではなく。


『夏季数学特別講義……』


何だか面倒そうなものだった。