水を吸った紺色のジャージは重く。

けれど、私の前に力なく座り込む先生の表情と言葉は、その何倍も重さを持っていた。

私は、眉をハの字にしながら口を開く。


「海で……そうなんだ……」


ななせさんは、海で亡くなった。

聞かされて納得する。

だから、私がプールに落ちた時にあんな風に取り乱したように見えたんだと。

……あ、もしかして。


「先生が海が嫌いなのって……」

「……ああ……そうだよ」


私の曖昧な問いに、椎名先生は頷きもせず、ただ小さく唇を動かして。


「……8年前のあの日、七瀬が死んでからだ」


告げると、先生は視線を風で緩く波立つ水面に落とし、ポツリポツリと語り始めた。