そんな"恋"という感情に日々、気持ちを浮き沈みさせながら過ごしていたある日のこと。


「もうすぐ夏休みだねぇ。今年も恒例のお泊まり会する?」


終礼後、廊下でくるみと立ち話をしていた私は、彼女の提案にコクコクと頷いてみせた。


「したいしたい!」


長期休みに入ると、くるみの家に泊まるようになったのはいつからだろう。

きっかけは、くるみが描く漫画の人物デッサンのモデルになりに行ったことだ。

それは今も変わらず手伝っている。

今年の夏も、私は指示されたポーズをとりながら、くるみと朝までガールズトークを繰り広げるんだろうなぁ。


くるみは、日にちはまたあとでLINEで決めようと告げると、塾に向かう為、バイバイと手を振り足早に去って行った。


……さて、私は図書室にでも寄ってから──


「宮原さん、ちょっといい?」


鞄を肩にかけ直した直後、背後から呼ばれ振り返る。

そこには、名前も知らない他クラスの女子が3人。

何の用事かと首を傾げると、3人の中でも1番気の強そうなつり目の子が、腕を組みながら唇に笑みを浮かべた。

そして、私を人気の少ない廊下の端まで連れて行くと、つり目の子が「実は」と話し始める。