確かに私は美少女でもないパッとしない顔だ。

そこは反論できないけど、この会話からすると、私が椎名先生につきまとってるように見えててウザいってことなんだろう。

改めて、椎名先生がモテるのを実感する。

それにしても、先生につきまとってるつもりはなかったけど……もしかしたら、この子たちの言うように、椎名先生は迷惑に思ってるのかな?

クッキーなんかいらなくて、ご褒美とかねだられて。

私、自分勝手過ぎ……なのかな。

今までの行いを思い返しながら、そっと個室の壁に寄りかかる。

すると──


「そーいえば宮原って、朝比奈とも仲良いよね」


今度は悠馬の名前が出てきた。


「あー、幼なじみらしいよ。よく一緒にいるよね」

「あれかな。幼なじみだから相手にされてんのに、ここでも勘違いしてるんじゃない?」

「私は彼にとって特別な存在なの! とか?」

「うっわ、ウザー」


バカにするように笑った彼女たちは、メイクを直しているのか、時折カチャカチャと道具を取り出すような音を出しながら、尚も私への不満を口にし盛り上がる。

そして、何度も私を『勘違い女』と呼び、言いたいだけ言ってスッキリしたのか、最後は私とは関係のない話題を口にしながらトイレから出て行った。

静まり返るトイレ内で、私は潜めていた息を吐き出す。