「キ―ンコ―ンカ―ンコ―ン―…」
休み時間の終わりをチャイムが告げる。
3時限目の授業を担当する先生が教室に入って来るのと同時に、騒がしかった周りが一気に沈静化していく。
私は、蒼ノさんが机の下から差し出してくれたチケットを素早く受け取るて、前へと向き直った。
隣の席の秋夜は教科書とノートを開き、あのシャーペンを握っている。
私とお揃いのシャーペンだ。
しかし、突然彼は何かを思い出したように、私の机へとチラリと視線をやると、持っていたシャーペンを自分の筆箱の中にしまい、別のシャーペンと代えてしまった。
恥ずかしがり屋の秋夜らしい。
私は何だか可笑しくなってきて、ククッと笑ってしまった。
『江本さん』
まるでデジャブかのような三度目の呼び声に、私は振り返った。
『チケット、落ちたよ』
絵画のような美しい微笑みを浮かべた蒼ノさんが、そう言って私の足下を指さしている。
『ありがとう』
私は笑みを返すと、いつの間にか床に落ちていたチケットを拾い上げた。
その時、秋夜がそのチケットの存在に気がつき、驚いた表情で私を見つめた。
『日曜日のデート、楽しみね…』
私はそうポツリとこぼし、ククッと笑った。
【完】
休み時間の終わりをチャイムが告げる。
3時限目の授業を担当する先生が教室に入って来るのと同時に、騒がしかった周りが一気に沈静化していく。
私は、蒼ノさんが机の下から差し出してくれたチケットを素早く受け取るて、前へと向き直った。
隣の席の秋夜は教科書とノートを開き、あのシャーペンを握っている。
私とお揃いのシャーペンだ。
しかし、突然彼は何かを思い出したように、私の机へとチラリと視線をやると、持っていたシャーペンを自分の筆箱の中にしまい、別のシャーペンと代えてしまった。
恥ずかしがり屋の秋夜らしい。
私は何だか可笑しくなってきて、ククッと笑ってしまった。
『江本さん』
まるでデジャブかのような三度目の呼び声に、私は振り返った。
『チケット、落ちたよ』
絵画のような美しい微笑みを浮かべた蒼ノさんが、そう言って私の足下を指さしている。
『ありがとう』
私は笑みを返すと、いつの間にか床に落ちていたチケットを拾い上げた。
その時、秋夜がそのチケットの存在に気がつき、驚いた表情で私を見つめた。
『日曜日のデート、楽しみね…』
私はそうポツリとこぼし、ククッと笑った。
【完】