は、ちょっと分けがわからないと思いながら、私は言われるがままに机に散らばったノートや何やらの荷物をカバンの中に片付ける。
佐々木は急に「帰る」とか言い出だして、更には私に荷物を片付けるように命じたのだ。
しかも、その顔が何だか怖くて私はそれを拒否することが出来なかったのだ。
いや、拒否する暇も与えられなかったというか……
塾を出て、家の方向を聞かれてわたしが指をさせば、怒りながら私を引っ張って行く。
これといって人通りはなく、均等な感覚で立った街灯だけが、私たちを照らしていた。
早歩きで歩かれて、私はついていくので精一杯だ。
「ちょっと、佐々木、早いって」
「……あ、ごめん」
あれ、佐々木、怒ってるんじゃなかったの?
街灯の光で見える、振り返って私の方を見る佐々木は、もういつもの佐々木だった。
「佐々木、怒ってないの?」

