「へー、ありがと。この単元苦手でさー」
あれから、先生が他の生徒の対応で忙しそうな時とかには、佐々木に質問されることが多くなっていた。
数学は得意だけど、英語が苦手なんだとのこと。
だから、私が英語が得意なのを知ってか、色々と質問してくるのだ。
そんなある日、いつものように私たちは会話していた。
だから、いつも笑ってへなへなしてるような佐々木があんな反応するのは、意外だったんだ。
「私もけっこう苦手だよ、そこ」
「てかさ、いっつもここで何時まで勉強してんの?」
「私は、ここが閉まるまでだから十二時」
「まじで? 親とか心配しないの?」
「あ、うん、私一人暮らしだしね」
「危ないじゃん」
「え」
「女がそんな時間に帰って、普通危ないって思うって言ってんの」