「ほれ、出来た」

「うそ」

「何で嘘つかないといけないの」

「あはは、ごめんなさい」

本当だ。書いていたルーズリーフを見てみれば、綺麗に解かれている。

しかもめちゃくちゃ分かりやすく。

「あ、ありがと」

「いえいえ、お構いなく。あ、そうだ、名前なんだっけ?」

「や、山下千佳……」

「へー、そっか。じゃーね、ふぁ~、にしても眠い眠い」

彼は手を振ると、欠伸しながらその場から立ち去っていった。





これが、彼との出会いだった――……