「じゅ、塾の中で紙ヒコーキなんてつくって飛ばすの、止めてもらいたいんですが」

「いーじゃん、紙ヒコーキ。子どもの夢がいーっぱい詰まってて」


ハハッと笑いながら彼は言うと、彼は私の前にやってきて、私が手にしていた紙ヒコーキをホイっと取っていく。

「どうしたの、先生に用事?」

「……」

「おーい、山下さん? 聞いてる?」

「……え、いやっ、あ、そう! 分かんない問題があって!」

わわ、今どうしちゃってたんだ、私。

何か今、何にも頭に入ってこなかったよ。


「あー、先生今お昼買いにいってて、いないんだよね」


「そうなんだ」と答えれば、彼は「どれどれ」と言いながら勝手に私が持っていた問題を取って解き始めてしまった。