「遅く、ない? おかしく、ない?」
「そんなこと、思わない」
それだけで、軽くなった。
今まで勉強していたことが、馬鹿馬鹿しく思えていた自分が。
「それにね、俺、勉強に手がつかないの。いっつも山下のこと考えちゃってさ。
だから、山下は昨日俺のこと凄いなんて言ってたけど、俺ってば全然情けない奴なんだよ」
「……わたしも、佐々木のことが好きなんだよ?」
「へ……?」
「ね、一緒に、志望校、目指そっか」
きっと、君となら。
私はすぐにでも"夢"に出会えるような気がしたんだ。
ううん、夢はもう生まれてきてるのかもしれない。
ずっと、君と一緒にいたいな――……
そんな、夢。

