「すっごい勉強してるから、それだけの夢があるんだろーなって。そんなこと」
「う、うん。言った」
「でも、わたしは全然凄くなんか、ないんだよ」
彼が、その言葉を聴いているとき、何を考えてるかなんてわからなかった。
「遠くに住んでる親に、嫌われたくないだけなの。私が頑張らなかったら、いつか私のことなんて忘れちゃって、どうでもよくなって。
だから、自分の意思なんかそこになくて。将来自分がやりたいことも、まだ見つかってなくて。
だから、佐々木のが、よっぽどすごい。夢に向かって、一生懸命で。うらやましい、よ」

