私が顔を上げてみれば、「だって、ほら、俺たち受験生だし?」といつものように、笑う。

笑顔が、こぼれる。困ったような、彼の。

でも、そんな彼は、きっと。

私がおっきな夢に向かって一生懸命になって勉強してるんだろうって思っていて。

そんな私を好きになってくれたわけで。

だから、きっと佐々木が、本当の私を知ってしまったら、幻滅されてしまうんだろうな、と思った。



だけど、そんな風に思ってくれてる佐々木だからこそ、言わなくちゃいけないんだ。

佐々木が想っているのは、偽りの私なんだよ……



「前、佐々木が言ったこと、覚えてる?」

「何?」