あれから、「大丈夫」と言うのに、佐々木は私を送ってくれている。
だけど、私はほとんどしゃべらなくて、
佐々木が一方的に話してるのみだった。
話題は紙ヒコーキの話から好きなテレビの話、音楽の話、自分の家の田舎度まで、けっこう幅広かった。
紙ヒコーキは、まだ小学生の時、お兄ちゃんみたいにすごく慕っている従兄弟が、
向こう岸まで十何メートルもあるんじゃないかというくらい大きな川で岸から岸まで飛ばすのを見て以来大好きになったということを聞いた。
だけどいまだに従兄弟よりも長く紙ヒコーキを飛ばすことが出来ないらしい。
そんな時間は、楽しかった。
だけど、一人家に入ってしまえば、違う気持ちがざわめいた。
一人置いてけぼりになってしまっているような気持ちになっているのだ。
彼のことを知れば知るほど、私は自分がちっぽけな人間にしか思えなくてならなかったんだ。