澄み切った青い空に広がるのは、巨大な入道雲。

夏の強い陽射しの下、蝉の鳴く音が煩いほどに聞こえている。

「よ~し、着いたっ」

高校最後の夏休み。

私たち受験生は、大学受験に向けて最後の追い込みをかける大切なこの時期をとうとう迎えてしまったのだ。

だからといって、こんな暑い中クーラーもない家の中で勉強するわけにはいかないので、私は夏休みの初日から、
塾というクーラーの効いた快適で勉強しやすい空間に引きこもって勉強することに決めたのだ。



「ん~、わかんないなぁ……」

塾についてから何時間かしてからのこと。

数学の問題を何問か解いていると、分からない問題に出会ってしまった。

机に向かって、ひたすらにらめっこしてみる。

だけど私は、結局解くことが出来なくて、質問しようと先生のいる部屋に行くことに。