「心配をおかけして、すみませんでした」



あれから眠っていると、夜には熱も下がった。
これ以上は迷惑になるので今日は帰ることにしました。



「音ちゃんッ!気づかなくてごめんね!お兄ちゃんたら連絡も入れてくれなかったから今まで知らなくて」

「冬ちゃん・・・。いいんですよ。一ノ瀬くんも、せっかくお友達のところに遊びに行っているのを引き返させるのは申し訳ないって思ったんだと思います。それに私も、そうはしてほしくありませんでしたし」

「うん・・・。ありがとう。ごめんね」




こんなにも長い時間お世話になったんです。
十分ありがたいことです。



「・・・送る」

「あ、ありがとうございます」




一ノ瀬くんはいつもバイトでいないと気が多いけれど、こうして時間が合う時には送ってくれる。
特別会話があるわけでもなく、ただ淡々と帰る道だけれどその時間が実は少し好きだったりするのです。





「本当にありがとうございました」

「ああ」

「未江ちゃんの事も、きっと私とのことばれるのは嫌だと思うのに、連れてきてくださって嬉しかったです」

「・・・言っただろ。俺は別に誰にどう思われようがかまわないって」