*???視点

ザーー.......

雨音と、俺たちが足をつく度にはねる水の音が森の奥まで響いていた。

「....にぃ....お兄ちゃんはどこにいるの...?」

そう言って妹は俺の様子を伺った。

???「...大丈夫だ、きっとすぐに見つかる.....だから今は走れっ」

妹の手を強く握って走り続ける。

あたりに明かりはなく、月明かりだけが俺たちの進む道を照らしてくれている。

あぁ....ここで死ぬのかな、俺

たしかに焦っているはずなのに、思い浮かんだ言葉は自分でも驚くほどに冷静だった。

パンッ

乾いた銃声が雨音に混じって響く。

「にぃ...!」

銃声に驚いたのか、さっきまで握っていたはずの手が離れ、妹は冷たい地面に体を打ちつけた。

俺たちが立ち止まっているすきに、相手は俺たちを取り囲んで銃口を向ける。俺は1度だけ深呼吸をすると妹を庇う形で前に立ち、使い慣れたナイフをポケットから取り出す。

一瞬の静寂が森を包んだ。

???「来いよ....相手してやる」