海の真ん中、サンゴ礁の綺麗なところに、2人の人魚がいた。



一人は泣きながら金色の髪をなびかせており、

一人は、純粋な黒の短髪で少し強ばった表情でいた。







ーしくしくしく………。


「ーーなぁ、キセキ?」




ーしくしくしく……。


「もう、泣き止めよ…。」



ーしくしく……。




「あのなぁ~キセキ。おまえがどんなに泣いたって、海の王国のプリンセスにはなれない!!」




ーしく……


「そんなのわかんないじゃん!!」



「わかるよ。だって、この10年間『Blood』(ブラッド)は一回も光っていないのだから。」



「今年は輝やくわ。私のこの涙でっ!!」


私も今年で16歳!

やぁ~~と、Blood selectに出れる年になったんだ。

絶対、絶対、ぜぇえ~~たい、私の涙でBloodを紅に輝かせてみせる!!



「……。」

ーーふっ。


期待に満ちた私の前で、ショウが嘲笑う。



ーーボコッ!!


「ーーいッ…!!!?」



ショウのその顔にムカついたので、ショウの顔に一発パンチをくらわせた。

血を吐いているがかまいはしない。
よくあることだ。




「ショウのばか!!たった2人の友達じゃない…。応援くらい、してくれても良いじゃないっ!!」


私はそう吐き捨てると、ショウとは反対方向にその場を離れた。




ショウのばか。

ばかばかばかばか!!




ーーーーキセキが去った後、ショウはさっきキセキに言われた言葉を思い出していた。



❀❀❀❀❀


「ショウのばか!!たった2人の友達じゃない…。応援くらい、してくれても良いじゃないっ!!」


❀❀❀❀❀



たった2人の友達…。


ショウは、キセキに殴られた左頬をさそる。



「応援…か…。結果が分かっていて応援なんかできないよ、俺は…。」


7年前のあの日から、運命は変わらない。
ただ刻々と時間が過ぎていっているだけ…。




「おまえと一緒にいるのも、明日で最後なんだな……。」



俺の、たった1人の友達。

たった1人の大切なーー。